今、茨城県の公立中高一貫校受検が大変なことになっております!
令和に突入してからというもの、これでもかというほど、公立中高一貫校が続々と新規開校しています。
令和2年
太田第一高等学校附属中・鉾田第一高等学校附属中・鹿島高等学校附属中・竜ヶ崎第一高等学校附属中・下館第一高等学校附属中の5中学。
令和3年
水戸第一高等学校附属中・土浦第一高等学校附属中・勝田中等教育学校の3中学。
そして令和4年
下妻第一高等学校附属中・水海道第一高等学校附属中の2中学がさらに開校予定。
このような短期間での増加ペースは、全国様々な地域を見渡してみても非常に希なことで、茨城県の、県をあげての教育熱が伝わります。
茨城県の子どもたちの選択肢が広がるという意味では、非常に良いことです。
長い小学校生活の中で、人間関係で悩んだり、中学進学にあたり、通学時間がかかるようになったり、やりたい部活動がなかったり…。
指定学区内から、決めれられた特定中学しか選択肢がないのは、辛いお子さんもいるはずです。
選べる中学校が増え複数あれば、そうした悩みも解消されるかもしれませんね。
さて、学校が増える分だけ、受検生(受験生)や保護者の方は、
「それで、どの学校を選べばいいの?」
と迷われるのも確かです。
ですから今回は、複数ある茨城県のその中学校(志望校)選びのポイントをお伝えしたいと思います!
学校選びのポイント、その➀
通学、片道最長1時間内から選択すること。
茨城県に限らずのことですが、公立・国立・私立の中学受験を、それぞれ全くの別物だと認識すべきであるということ。
もちろん入試日が異なりますので、併願し、どちらも受けるというのは、多くの受験生がされていることだと思います。
ただ、入試の試験内容や、そこに向けての対策の仕方は全く異なりますので、THE中学受験を象徴するような国私立受験と、公立中学の受検を同様の感覚であらゆるものを判断しないよう、気を付けなければなりません。
国私立と公立との併願の仕方や、その選び方をもっと知りたいという方々につきましては、また後日、別途ブログを書こうと思いますので、こちらでの掘下げは割愛させていただきます。
ただ、今回の茨城県のように、公立中高一貫校の新規開校が相次ぎ、その複数ある公立中高一貫校の中からその本命志望校・出願校を選ぶ際の基準は、実は至極シンプルなのです。
それは、この公立中高一貫校を開設する開校目的にさかのぼって考えれば分かることです。
文科省が全国的に推進してきたこの公立中高一貫校設置の目的は、中学選択の多様性にあります。
日本の場合、中1での不登校が増加する傾向にあり、それは6年もの間慣れ親しんだ小学校での先生や友人たちと離れ、新しい中学生活に馴染めない子どもたちがいるからであるのは、容易に想像がつきます。
不登校防止のためだけではもちろんありませんが、そうした事情も含め、公立中学は、仮に一貫校であっても、あくまで家計の金銭的な事情を気にすることなく、子どもたちが自分の進路を選択できるようにしたその多様性が利点であり、私立の学校のように、それぞれの指導方針や理念、提供する特異な学習カリキュラムを謳い、競わせこぞって生徒募集をしようというのとはわけが違うのです。
「それならなぜ試験をするの?」
と言う方もよくおられますが、それは単純に、公立ゆえに定員数があり、私立と違い余材確保はできませんがら、選別せざるを得ないのです。
公立中高一貫校においては、あくまで各地域ごとの選択肢を増やしていく目的のため、学校ごとの特色による差別化はさほどありませんから、一番優先的に考えるべきことは、通学のしやすさではないでしょうか?
一貫校ですから、当然通学期間は6年です。
途中高校になれば、部活の終了時間や放課後の補修、はたまた土曜日登校などもあり、中学以上に学校への登下校の頻度や時間に変化があります。
ですから、通いやすさであったり、帰宅後の家庭学習時間の確保など、よく考えて選びましょう。
茨城県の一昨年前開校になった以下の中学をみてみると…
●茨城県立太田第一高等学校附属中、所在は常陸太田市。
●茨城県立鉾田第一高等学校附属中、所在は鉾田市。
●茨城県立鹿島高等学校附属中、所在は鹿嶋市。
●茨城県立竜ケ崎第一高等学校附属中、所在は竜ケ崎市。
●茨城県立下館第一高等学校附属中、所在は筑西市。
各地域(市町村)ごとに、公立一貫校を設置している状況で、偏った地域に競い合いのように増設しているわけではありません。
県立高校の併設型でありますので、県内全域が通学区域となり、市町村を超えて出願することが可能です。
とは言え、広い茨城県ですので、日々の通学時間を考えれば、市町村をまたいでしまえば物理的に難しい地域も出てくるはずですから、現実的にはどこでもよいわけではなく、お住まいの地域と隣接した市町村エリア、ということになるでしょう。
学校選びのポイント、その➁
一貫校の強みは、大学受験への備え。
6年一貫で学ぶということは、高校受験がないということ。
高校受験がないということは、いいかえれば、6年かけて大学受験にそなえられるということです。
公立中高一貫校の中から志望校を絞るにあたって、次に注目すべきポイントは、大学進学実績です。
各高校のホームページには、たいがい卒業生の大学合格実績が掲載されています。
試しに、茨城県内で最もレベルが高いと言われる並木中等教育学校のホームページの、昨年の大学合格実績を参考に見てみましょう。
↓↓
http://www.namiki-cs.ibk.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=5650
国公立大学への現役合格率は、80/144名で約56%
医学部医学科の現役合格者は14名
全国にある多くの公立中高一貫校が、国公立大学への現役合格に力を入れた指導を行っています。
さらに、開設開校からある程度年数がたち、3期生以上の卒業生を輩出している並木中等教育学校のような学校は、難関大合格に向けてもアプローチし始めます。
公立中高一貫校受検を目指す目的の1つに、長い目でみて大学受験を意識してのことがあるようでしたら、はやり開設開校から時間が経過し卒業生を多数輩出している学校を選ぶべきでしょう。
一貫校として開設されてからの2~3年は、どうしても周囲は様子見となり、優秀な生徒が集まりにくいです。
それが、実際通う生徒たちの情報や卒業生の情報が出回るようになり、次第に人気を集めていくようになりがちなのが、公立中高一貫校。
掲げる理想はあっても、勉強に対し私立のようながちがちとした強制もかけられませんし、補習補講なども設けにくい事情もあるでしょう。
公立中高一貫校は、開設したばかりの数年は、その数年を使い仕組みづくりがなされていきますので、最初から多くを期待してはいけませんし、私立のような高額な学費で経営されている学校ではありませんから、手厚く質の高い親身な対応を求めるのもまた過度な期待であり、お門違いと言えるでしょう。
そう思えば、これまでに経験と実績のある、年数が積まれた学校のほうが、噂通りの状況であるのは間違いありません。
学校選びのポイント、その③
校外学習や探究授業などに注目。
多くの公立中高一貫校が、高校の修学旅行で(実際は語学研修・海外研修、などの名目にしています)、海外を訪れます。
イギリス・カナダ・オーストラリア・アメリカ・シンガポールなど、学校により行先は異なります。
中学校の段階では、希望者や一定条件を満たした生徒限定で、同様に海外交流や海外研修に行ける場合もあります。
日本の英語教育は、アメリカ英語がベースになっています。普段学んだことの実践で言えば、アメリカ英語圏の国もいいでしょうし、普段学んだものとは違うイントネーションなどの英語や文化にも触れてみたいと思えば、イギリス英語圏の国もいいですよね。
ただ海外だからイイ!というわけではなく、行き先の確認は必要です。
また、日立第一高等学校ではこの5月、東京大学の小林亮太准教授による、リモート講演会を実施した模様。
↓↓
http://www.hitachi1-jh.ibk.ed.jp/index.php?action=pages_view_main&&block_id=980#_980
人工知能に関する講演内容だったようで、まさに時代の先駆けとなるような内容であったに違いありません。
早くからこのように各界の専門家や一流の話を聞けることは、子どものたちの柔軟な脳には刺激的で、学ぶ内容ももちろんためになりますが、将来の進路選択などにも非常に有効的です。
公立中高一貫校の指導で大切にされている事柄の1つに「探究」があります。
受け身の学びで終わらず、自らテーマを決め自ら調べたり仲間と意見を交わしたりしながら、内容を深めていくことです。
近頃では能力差が著しく現れる数学の授業さえ、班などのグループで話し合いをさせる授業がほとんどです。
ホームページ内のブログやYouTubeチャンネルなどで、それぞれの学校生活の様子が紹介されていますので、それらをよくチェックしてみてください。
受検生自身がそれを見て、
「これ、おもしろそう!」「こんな勉強してみたい!」
とイメージがわくことが、受検を乗り越える大きな活力となりますので、目指す理由付けとなれば良いですね。
さて、茨城県の公立中高一貫校受検、志望校選びの3つのポイント。
ご自身の選ぶ基準としては、参考になりましたでしょうか?
募集定員数によって倍率も変わり、適性検査問題は同じでも配点が違ったり面接やグループワークの内容が異なりますので、志望校は早期に固まっていることが、対策のしやすさにもなります。
お子さんに合った学校選び、夏休み前までにしてみてくださいね!
【参考サイト】
●茨城県教育委員会公式HP
https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/gakkou/koukou/gakkodukuri/tyuukou/index.html
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