茨城県屈指の公立中高一貫校。
茨城県立並木中等教育学校にて、去る6月15日(火)、塾向けの公開授業・説明会が実施され、弊社も参加して参りました。
実際並木中学校を訪問し、そこに通う生徒たちの学ぶ環境や様子を見て、お話をうかがってきたことなど、ホヤホヤのリアルな情報を、茨城県の公立中高一貫校受検を検討されている受検生、および保護者の皆様に、お届けいたしたいと思います。
平成20年に「グローバルリーダーの育成」を掲げ開校し、令和3年の今年14年目を迎える茨城県立並木中等教育学校。
中等教育学校ですから、その名の通り、高校からの入学選抜は行わず、中1から高3までの6年一貫教育。
“Be a top learner!”
を校是とし、
「人間教育」
「科学教育」
「国際教育」
を教育指針の柱とし、実践されています。
8年前卒業一期生を送り出してから、東大46名、医学部99名と、大学進学実績も着々と数を増やし、勢いに乗る、茨城県屈指の公立中高一貫校!
全国のあらゆる公立中高一貫校を知る私が、今回、2時間ほどの説明会で感じた
並木中等教育学校の魅力ポイントを3つの観点からお伝えしていきます。
1)授業および学習カリキュラム
9:40から始まった、2コマの授業公開。
特定の学年・クラスの授業見学であったならば、悪い言い方になりますが、あらかじめ見世物として用意された、
「力のあるベテラン先生と行儀のよいクラス」
というイメージしか、私は持たなかったでしょう。
今回は、ごく一部のクラスを除き(おそらく体育など授業スペース・場所による事情から)、その授業のほとんどを公開してくださいました。
そのため、真面目に深い内容の授業をしているクラスもありましたし、多少脱線もあるにぎやかなクラスもありました。
けれど、それがむしろ当然のこと。
私もかつて、教員資格取得のために教育実習にいったり、1クラス40人程度の集団授業を行う学習塾で講師をしたりした経験があるのでよくわかりますが、先生方の中には、1~2年の新米先生から十年以上のベテラン先生がいるはずです。
経験を積むことで、クラスの統率力や授業スキルが磨かれますので、授業担当者によってこうした差が生まれるのはどの学校でも普通のこと。
生徒たちのとっても、幅広い年齢や様々な先生方との関わりが大事であり、こうした環境がむしろ教育現場では正常であると考えます。
ですから、良いところだけを見せようというのではなく、こうした状況のすべてを見せようとしてくださったことが非常に好印象で、信用信頼につながりました。
あらゆる学年の様々な科目授業を拝見し、全体的な特徴として見えた3点
・視覚的な教え方
・よくしゃべらせる
・グループやペアによる話し合いや実践トレーニング
が、生徒たちの学習にとって、効果的指導であるという印象。
これらはまさにアクティブラーニングの実践と言えるのでしょう。
教科書出版会社から提供を受けているであろう補助教材以外にも、先生によっては、ご自身で作成されたと思われるパワーポイントなどの資料を、モニターに映し出しながら、視覚的アプローチで授業されていらっしゃったのが、とても良いと感じました。
例えば英単語をフラッシュカードのようにして、テンポよく発音や意味を何度も何度も復唱させ覚えさせたり…。
また、近年の授業スタイルの主流になっているやり方ですが、グループや班を作り、解き方や考え方を自分たちで話し合い、共に理解を深め考えるような学びや、その場でペアを作り、習ったことを即実践してみる学び。
このように、教師の一方的な講義で終わらず、生徒たちの受け身には決してならないような授業工夫が、様々な科目で見受けられました。
理科では、実験しているクラスを複数見学しました。
班で実験し、学校から支給されたPCやタブレットを駆使しながら、実験過程や結果を、画像などを使いながら編集しまとめていくスタイルです。
そばにいたある中1の女の子に
「(タブレットを使うのは)どう?」
と聞いてみると
「便利ですけど、まだあまり慣れていなくて…」
とちょっと照れた様子で答えてくれました。
日ごろからこうした端末機器を使いこなす子どもと、家庭ではあまり触らせてもらえない子どもでは、こうした学習の場面での作業効率も変わってくるのだろうと感じました。
まさに、今どきの課題なのだと思います。
また、わたしが個人的に関心を寄せた授業は、高校生の数学です。
おそらく高2か高3の数Ⅲの授業だったかと思われますが、あきらかに指導経験が豊富でいらっしゃる男性の先生による、20名ほどの少人数授業。
目的意識をもつ高校生たちは、よく聞きよく解き、そして代表者が前にでて黒板に解き方を書いく…。
先生が
「解き終わった人は、何しててもいいよ。」
とサラリとおっしゃった一言に、私は確実に反応していました。
メモにも残しました。(スーパー汚い字ですみません💦)
これは、高いレベルの大学受験を志す、意識が高い高校生たちをあずかる学校や予備校などでしか聞かれない言葉。
東大京大医学部合格者を多数輩出する、私立の名門中高一貫校では、授業中の内職(他教科の勉強をすること)を、先生方は暗黙の了解で許可すると聞きます。
難易度が高く、国立大を志望する場合科目数も多いので、限られた時間で効率的に勉強しなければ、大学受験の成功はないからです。
自立して学ぶ姿勢が備わった子どもたちだからこそ、信頼して言える、
「時間を無駄にせず、自分に必要なことを必要に取り組みなさいね」
という意味なんです。
これか通じる自立した生徒たちであれは、大学受験の成功に近づくことができます。
前期生は、探究やグループワークに重心をおいた授業スタイル、後期生は、それぞれの目的目標に合わせ、受験に必要な学びの授業スタイル。
6年を通して色分けされた授業の様子がうかがえました。
2)開かれた学校環境
1)でも触れましたが、多くの学校は閉鎖的ですが、並木中等教育学校から感じるのは、学校が開かれていること。
その要因の一つに、地域、大学や民間機関との連携もあるのではないでしょうか。
冒頭で述べた教育指針の柱の1つ「科学教育」の一環として、筑波研究学園都市である地域制を生かし、大学や研究機関との連携による科学教育を行うことを目指されているため、常に視点が外に向けられている印象です。
日本社会が、世界が、今どんな動向で、それに向け並木中等教育学校の生徒たちがどうあるべきか?というような観点から、あらゆる物事を考え、決められていると思いました。
所属教員、学校だけで子どもたちを教育しようというのではなく、外からの情報や刺激を積極的に取り入れていらっしゃいます。
現に、本来学校関係者からは怪訝されがちな我々塾関係者を招き説明会を開催してくださるくらいですから、外への発信としては非常に希なことです。
例えば、現在コロナ禍において、本来であれば行われるべきニュージーランドへの海外研修が見送りになりましたが、インターナショナルスクールや民間機関に協力を得て、国内にて英語研修を行うそうです。
「開かれた」という表現が正しいのかは分かりませんが、内向的な思考ではなく、外交的に取り組まれている様子がOPENなイメージを与えてくださり、それが生徒・保護者の皆さんには安心感になること間違いありません。
3)先生方の指導熱
会の後半では、質疑応答を含め1時間程度、校長先生はじめ様々な先生方がトピックに合わせ役割分担され、丁寧なご説明をいただきました。
これは、わたしの長年の経験で分かることですが、学校にプライドをもつ先生方が多くいる学校は、大学受験に強いです。
その場で、肌で感じる熱量なので、感覚的になってしまいその説明は難しいのですが、先生方による温度差がなく、説明にも矛盾なく、皆さんが同じ理念のもと取り組まれているのがよく分かりました。
廊下ですれ違ったときの、我々外部に対するご挨拶も、すべての先生方が丁寧にしていただいて、相手や場面で対応が変わるような裏表がなく、こうした方々に子どもたちが教えを受けられれば、きっと自己実現につながるのではないかと感じ、気持ちよく帰宅いたしました。
「人間力」を備えたグローバルリーダーの育成に従事される、素晴らしい先生方がそろった並木中等教育学校。
茨城県には続々と、新たな公立中高一貫校が開校していますが、6年間の一貫教育において、実績が何よりの信頼です。
並木中等教育学校は人気で、受検は確実に難しい挑戦にはなりますが、行く価値のある学校選びとしては、選択肢の第一候補にふさわしい学校ですよ!
【参考】
・茨城県立並木中等教育学校公式HP
http://www.namiki-cs.ibk.ed.jp/
・茨城県教育委員会公式HP
https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/gakkou/koukou/gakkodukuri/tyuukou/about.html
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