大阪の皆さん、お待たせしました。大阪の新たな中学受検の形、大阪市立咲くやこの花中 ・ 大阪市立水都国際中 のご紹介です!
前回、「今、大阪の公立中高一貫校・中学受験(受検)が熱い!―前編」にて、大阪府立富田林中学校のご紹介をいたしましたところ、さすが大阪!
教育への関心が高いようで、公開2日で、100を超えるページViewがありました。
富田林中もいいのだけれど、大阪市内にお住まいの方々で公立中高一貫校受検を検討される場合、現実的には大阪市内にある方が、通学に便利だと感じるのは当然のこと。
そこで今回の後編は、大阪市内にある、大阪市立中高一貫校2つの特色をご紹介したいと思います。
大阪市立咲くやこの花中(所在:大阪市此花区)
大阪市立水都国際中(所在:大阪市住之江区)
大阪市立咲くやこの花中・水都国際中は、ともに大阪市の南西、沿岸部にあります。
大阪はよく、地域や場所で治安が違うと聞きます。
地元の方からは特に、この海辺は「まだ開発途中で何もない」「柄がよくない」などというお声を聞くのも正直なところ。
しかし此花区は、USJに始まり、2025年の大阪万博や夢洲へのIR誘致と、商業発展が見込めるため、客観的に見れば、東京・関東でいう、港区や江東区、浦安や船橋あたりを連想させられるエリアです。
もちろん沿岸部は、地震・津波など震災時の対策に備える必要があることは懸念されますが、その他については、これから大きく変化する大阪として、これまでがどうであったかよりも、今後の将来性に先見の目を持ち、考えていくのが良いでしょう。
まず、水都国際中学校の特色から、触れていきましょう。
受検倍率は、2019年の設立以来この4年で、
6.34倍→4.94倍→4.45倍→4.55倍
と、減少傾向にあります。
ただ、何の受検(受験)でもそうですが、隔年現象というものがあり、
「去年今年低かったから、やってみようか!」
と、急にまた上がることも推測できますので、おおよそお5倍前後と思っておくのが良いです。
水都国際中のすごいところは、大阪市と学校法人大阪YMCAによる、公設民営の中高一貫校であることです。
これは非常に画期的なことで、全国的にみても稀なケースです。
閉ざされた公教育に、民間の目を入れることで、豊富な情報と開かれた教育が可能となります。
また、何か問題が起きたり課題が生まれた場合、民間が入ることで柔軟で迅速な対応が可能となり、解決が早いというメリットも考えられます。
例えば、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令で、子たちが自宅待機となり、多くの学校がすぐにオンライン授業に切り替えられなかった状況がありました。
こうしたことも、私立の学校や民間であれば、オンライン授業への速やかな切り替えもスムーズに可能であったはずです。
いえ、民間であるならば、それができないことが致命傷にもなりえるため、ニーズ対し何がなんでもやらざるを得ないのです。
ですから、公教育に民間が関与することは、子どもたちの学びの環境が整い、より円滑になることを意味するのです。
カリキュラムとしての特徴は、やはり「英語」でしょうか。
国際バカロレア認定校として、高水準の英語教育が施されています。
※国際バカロレアについては、詳しくはこちらを参照ください。
第2言語(国際言語)として、ただの語学習得である英語教育の時代はもう終わったと言えます。
普通の英語の授業にくわええ、「グローバルスタディーズ(国際理解)」と称した授業では、外国人留学生らとのディスカッションを行ったり、戦争と平和・難民問題・格差社会など、世界で抱える社会問題を掘り下げ知識を深めたりし、英語を用いて、言語の知識範囲を超えた学びを行います。
一般的な公立中高一貫校の英語教育では、イングリッシュキャンプや英語研修旅行を行うのが代表例です。
イングリッシュキャンプは、1泊2日または2泊3日程度でオール英語のカリキュラムをこなし、英語研修旅行は、いわゆる修学旅行の行き先が英語圏の海外で、数日間ホームステイしたりするものです。
素晴らしい貴重なものであるのは確かですが、どちらにしてもイベント的で、短期的・一時的な経験と言えます。
しかし、中高一貫の6年の学校生活において、日々の授業カリキュラムに組み込みながら長期的に実用化し演習する方が、本来、英語力の定着には良いのは明らかです。
英語以外の科目(数学など)でも、英語を用いながら授業することもあり、水都国際中の特徴は、兎にも角にも、「英語の実用化」が最も色濃いと言えるでしょう。
水都国際中学校は、今年2022年夏には、新校舎が完成予定。
真新しい近代的な校舎で、生徒たちもきっと、ますます意欲的に学び、楽しく通学できそうですね!
次に、咲くやこの花中学校の特色です。
2008年に、大阪市初の公立中高一貫校として開校した咲やこの花中。
竣工も同年。モダンでスタイリッシュ、大人がみても「通ってみたい!」とテンションが上がってしまうようなおしゃれな校舎も魅力の1つです。
受検倍率はこの直近3年、
4.78倍→4.05倍→4.88倍
と、多少年度により波があります。
ただしこれは平均化した倍率で、分野(コース)別でみれば、ものづくり(理工)分野が毎年最も高く、6倍以上をキープした状態。
一方、スポーツは人気低迷で、低い時は2倍を切り、高いときでも3倍強なので、スポーツが好きなお子さんは、比較的受けやすいかもしれません。
この倍率にもつながる話になりますが、咲くやこの花中の最大の特色は、これだけ普通科が主流である日本で、専攻分野(専科コース)があるということ。
「ものづくり(理工)」
「スポーツ」
「言語」
「芸術(美術・デザイン)」
の4分野に分かれ、公立一般中学において、これは非常に珍しい在り方です。
大学受験を意識すると、5教科を満遍なく広く学ぶ普通科であるのが必然ですが、近年のジェンダーレスからもわかるように、個やその個性の尊重が重んじられる社会に変わりつつある中、教育のあり方も、広く浅い学びより、「得意や好きをとことん伸ばす」ことへの価値が高まりつつあります。
とは言え、それを当たり前にしている学校は、まだごく僅か。公立ではほどんど無いに等しいです。
ですから、咲くやこの花中学校及び高等学校のようなスタイルの学校は、これからますます人気が高まるのは明らかです。
咲くやこの花中のHPに「作品・成果等」というページあり、生徒たちの作品が紹介されています。
独創的で型にハマらず、個性溢れる作品の数々が目にとまります。
写真をコピーしたかのように模写された絵も美しいですが、子どもたちが伸び伸びと自由に自己表現している作品からも、学校が子どもたちを導こうとしている方向性がわかります。
「全教科を満遍なく高めることこそが、大学受験の成功」
という、これまでの日本の詰込教育の常識に糸目をつける勇気と潔さに感銘を受けつつ、その方針が決して誤りではなく、確実に世界の、社会の向かう方向を的確に捉えていることに、信頼も覚えます。
自身が望まないものを受け身として詰め込まれるよりも、自分の意思や興味を大事にできる環境があることは、これまで、才能があっても周囲から理解されずに力を伸ばしきれないままだった子どもたちも、咲くやこの花中なら、きっと自ら道を切り拓いていけるチャンスを得るをはずです。
「個性的」と言われるお子さんには、ぜひこの学校をお勧めしたいですね。
今年2022年の受検では、咲くやこの花中は志願者が66名増えました。(水都国際中は8名増。)
筆者はこの教育(受験)業界にかれこれ17年身を置き、あらゆる学校の説明を聞いたり見学したりしてきましたが、受検者数は世間の評価でもあります。
個人的にも、この咲やこの花中に、最も将来性を感じています。
最後になりますが、それぞれの学校以上に、それを運営する大阪府大阪市の行政としての教育改革には、目を見張るものがあります。
元来、国がなぜ公立中高一貫校設立に身を乗り出したかと言えば、中学進級時の選択肢を増やし、中等教育を多様化すること。
その意図をうまくくみ取れないまま、同地域に似通った学校を設立しても、子どもたちの選択肢は増えたとは言えません。
大阪のように、それぞれの特色、育みたい子どもたちの未来の方向性が、分かりやすく異なった学校が存在することは、地方自治として従来の目的と存在意義を果たしていると言えます。
ある意味、私立よりも特色の濃い大阪の公立中高一貫校。
大阪在住の皆さんは、この恵まれた環境を大いに生かし、中学進学に際し、お子さんにとって最良な選択ができるといいですね!
このブログを通し、咲くやこの花中・水都国際中に興味関心を持った方は、是非学校説明会やオープンスクールに足を運び、自分の目でその魅力を確かめてみてください。
そして、すぐに受検対策を始めたいとお考えの方は、私たちを一緒にその合格を目指しましょう!お問合せはこちらから。
【参考サイト】
【関連記事】