東京都で初の、そして唯一の区立中高一貫校として2006年に開講した千代田区立九段中等教育学校。
千代田区は皇居や国会議事堂があり、中央官庁や大企業の本社がひしめく、まるで政財界から見た日本の中心のような場所ですね。
そんな千代田区にある九段中は、東京メトロ半蔵門線・九段下駅から徒歩5分でアクセスもよく、通学のしやすさが人気の学校です。
募集人数は、AとBの区分ごと各80名、計160名。
令和5年度から男女別定員を廃止しています。
区分Aは千代田区民枠。令和6年の倍率は2.21倍で、昨年の倍率は2.60倍です。
区分Bは千代田区民外枠。令和6年度の倍率は5.41倍。昨年の倍率は5.09倍で、ここ数年の傾向を見ても区分Bは高水準のまま移行していることがわかります。
年度 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 |
倍率 | 5.36倍 | 5.24倍 | 5.09倍 | 5.41倍 |
千代田区公式HP参考
九段中の適性検査は1〜3で構成されています。
適性検査の問題は都立中とは異なりますので、傾向を熟知しておきましょう。
例えば、令和5年の過去の問題は以下のようなものがあります。
(1)適性検査1
大問1に物語文として、関口尚さんの「虹の音色が聞こえたら」から4題。大問2に説明文として、藤森照信さんの「建築とは何か 藤森照信の言葉」から3題出題されています。
大問1では、登場人物の心情や筆者の考えを読み取り、推察し記述する力が求められています。
問4では、内容の読解ではなく自分自身の経験を60字以上70字以内でまとめ、記述する問題があります。
問1〜3の読解問題は、対策によって慣れることができます。
問4のような自分の経験のついての記述は、その場で考え作文しますので、原稿用紙の3~4行を2~3分で書けるような練習は事前に必要です。60字以上70字以内だと、余計な説明などを入れ文字数が超過してしまうことがありますので、注意が必要です。
2)適性検査2
適性検査2は、社会や理科の知識をベースに、計算を含む問題が出題されています。
問1・2は、地図を見て距離を求めたり、異なるルートでも徒歩で同じ時間になる理由を考えたりする問題で、会話文や資料から想像し、コンパスや定規を使って求めるなど、自分の考えをまとめます。
問3は、社会の問題で国営公園の役割について記述する問題。資料にある国営公園の取り組みやイベントから、国立公園にどのような役割があるのか、自分の言葉でまとめ、記述します。
社会の問題を算数の考え方を用いて解くものは、どの地域の適性検査でもよく見られる、出題頻度の高いパターンです。
3)適性検査3
適性検査3では、理科と算数に重きをおいた出題です。一部社会分も含むため、一般的な科目知識も必要です。
大問1はお茶についての問題で、気候の関係性やイギリスでお茶を飲む習慣が始まった生活様式について、お茶が流通し続ける仕組みについてを考えさせます。資料の内容から多角的に読み取り、自分の言葉で記述する必要があります。
大問2は時計について、時間の平均を求める計算や、6分計の針の位置、液体時計を使った計算を求められます。
大問3は、身の回りにあるICチップや家電などから、理科の視点で出題されています。
理科の知識を、自動改札機や電子レンジといった私たちの身近な暮らしのものを結びつけ考えさせる、適性検査らしい問題が特徴的です。
都立中と区立中の適性検査問題は異なるため、周囲の他中学の受検をする受検生たちに流されず、九段中の問題傾向を特に熟知し、自分に必要な対策をしましょう。
受検(受験)対策はもちろん、他県の公立中高一貫校の様子を聞いてみたいなどお気軽にご相談をお待ちしております。
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