今年4月。大宮西高等学校を前身とし、埼玉県初の中等教育学校となる、さいまた市立大宮国際中等教育学校が開校。
国際バカロレア教育を導入し、「世界に貢献できる地球人の育成」をかかげ、英語教育に特に力を入れた教育活動をスタートさせました。
以来、埼玉県内の適性検査を経て進学する公立中高一貫校は3校。
さいたま市立浦和中学校
埼玉県立伊奈学園中学校
さいたま市立大宮国際中等教育学校
今回のような新設校の開校などが影響し、倍率は年により多少変動しますが、埼玉県の公立中高一貫校の受験倍率は、概ね平均5~8倍(高くて9倍弱)と見込むのが妥当でしょう。
まず先に触れておきたいのが、新設校、または開校から3年未満の学校について。埼玉県であれば、大宮国際中等教育学校が該当します。
あくまで個人的な感想になりますが、国際バカロレア(IB)認定校になるとのことで、多少前評判が高かったように思われます。
しかし、公立私立に限らず、中高一貫校を受験する場合、何を一番注目すべきかと言えば、各学校が掲げるその教育プログラムや教育活動を経て、どういった成果が生み出されたのか?ということ。
これだけ世界がグローバル化し、東京オリンピックや大阪万博といった世界の一大イベントが日本で開催されるとなれば、老若男女、英語習得の必要性をますます実感するご時世です。
英語教育に力を入れ、世界共通の大学入試資格や、それにつながる教育プログラムが受けられるとあらば、世の関心が高いのはよく理解できます。
けれど、IB認定がスゴイ!と、単純なブランド意識を持つ保護者の方がいらっしゃるのではあれば、それはあまりに安易な発想。
もっと言えば、今はまだIB機構の関心校に登録されているだけで、開校後、正式に候補校申請を行い、概ね2~3年で認定されるため、現時点では正式な認定校ではありません。
(参考:http://www.city-saitama.ed.jp/ <IBについて> Q3を参照)
その教育プログラムが他校と差別化されていて、その結果、生徒たちがどのような学習効果や成果が得られ、その先どんな進路を進んでいったのかを見なければ、実際その価値がどうであったかは分かりません。
実際、他県にはなりますが、過去同じようにIB認定校に通う何人かのお子さんをお預かりしたことがあります。
そういった特別なプログラムで学習しているにも関わらず、お子さんのタイプは色々ではありますが、それぞれに学校での学習に躓きがあり、結果的に塾にも通わなければならないという現実を、どう受け止めるかです・・・。
ですから、大宮国際中等教育学校のみならず、新設の中高一貫校の魅力と価値が本当の意味で一般に分かるようになるのは、やはり開校から3年経過した頃になるのではないでしょうか。
これらの観点から、今回は、さいたま市立浦和中学校と埼玉県立伊奈学園中学校の適性検査出題傾向と分析に限って、お話させて頂きます。
まず、2校はそれぞれ県立・市立で運営母体が異なりますため、適性検査は異なるものになります。
さいたま市立浦和中学校は、偏差値60を超え、埼玉県の有名私立に並ぶレベルの高さ。募集定員は男女それぞれ40名、計80名。
第一次選抜・・・適性検査Ⅰ・Ⅱを実施。
▼合格者のみ
第二次選抜・・・適性検査Ⅲと個人面接・集団面接を実施
浦和中学校の適性検査の問題の特徴として一番大きなポイントは、文字量、図・グラフ・地図などの資料が多いこと。問題を読む、問いを理解する、解答を作成する・・・というプロセスを見込めば、過去問演習など十分でなかった子は、まず時間が足りないはずです。
そして、与えられる問題の情報は、埼玉県の地名や遺産遺跡といった地域性の高いものや、その時期ニュースなどで取り上げられた話題性の比較的新しいものが目立つこと。
日頃から世間の関心が高い分野や、地元の特色について、ニュースなどで敏感に情報収集しておくのが望ましいです。
また、他県の適性検査の問題と違う点は、国語の知識を問う問題が比較的多いこともあげられます。作文という形で国語力を総合的に測る地域が多い中、浦和中の問題は、適性検査の対話文の中に、慣用句や接続詞、読解問題に近い問題を含みます。漢字や語彙語句の基礎知識は身につけておかないと、他の受験生との差になりやすいでしょう。
また一方で、他県と異なり、理数系の問題では理科に寄ったものが多く見受けられ、算数の問題としてはそれほど複雑なものは見慣れないものは少ないです。その代わり、理科については、小学履修範囲にとどまらず、中学理科を多少見越したレベルで学習しておいた方がよさそうです。
★さいたま市立浦和中学校を受験される方へのアドバイス★
・大量の文章や図など資料を、早く正確に読む力を身につける
・中学基礎レベルの理科の学習
・国語の漢字、語句語彙の基礎知識の定着
【参考】http://www.m-urawa.ed.jp/index.cfm/1,11160,c,html/11160/20181110-143917.pdf
埼玉県立伊奈学園中学校は、偏差値約55。東京ドーム3つ分と言われる広大な敷地の、充実した施設設備のもと、2640名の中・高校生たちが学んでいます。校訓として掲げられる「自彊創生」には共感する親御さんも多いはず。募集定員は、男女で計80名。
厳しい視点で見れば、卒業生の大学進学状況において、中高一貫をうたう上では些か弱い実績。ただ、机に向かって高度な学習を…というよりも、体験型の伸び伸びとした学習活動は、数年先を見越せば、より価値あるものとして評価されるのではないでしょうか。
第一次選考・・・作文Ⅰ・Ⅱ
▼合格者のみ
第二次選考・・・面接・調査書
浦和中学校のような適性検査ではなく、伊奈学園中学校では、適性検査に似たタイプの作文課題が出題されます。ただ作文するのではなく、対話文やグラフ・資料などが与えられ、それぞれ課題に対し、少なければ40字程度、多いと無制限に作文を書くことになります。
「これ!」という明確な答えがあるわけではないので、学力が必要な適性検査に比べれば、多少ハードルが下がるのかもしれませんが、その分一人では対策しにくいとも言えます。
また、普段から作文が得意なお子さんも、与えられた資料や課題から外れ自由に書いて良いものではありませんから、試験としての作文の書き方はしっかり抑えておきたいところです。
★埼玉県立伊奈学園中学校を受験される方へのアドバイス★
・限られた時間で書く力を身につける。
・誤字脱字は論外。漢字や送り仮名、原稿用紙の使い方など、基礎はしっかり固める。
・100~200文字の文章を読んで、40~50字に要約する力を身につける。
【参考】https://www.pref.saitama.lg.jp/f2208/documents/r2youkou.pdf
首都圏以外の中学受験では、有名私立の受験は今後ますます下火になるでしょう。公立中高一貫校の公立の枠組みの中で、それぞれの特色を見て、それぞれのお子さんにあった学校選びをして、中学受験に挑戦するというスタイルが、無理なく時代に合ったあり方ではないかと感じることが多くなりました。
ハイレベルな有名私立の中学受験とは異なり、公立の中高一貫校は、人に教わるよりご家庭で安定的に、しっかりと基礎を固めるような学習のあり方が望ましいです。それにはオンライン学習がピッタリ!
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