千葉県立千葉中学校の受検を希望される方からのお問合せがあり、改めて千葉県の公立中高一貫校とその受検について分析する機会がありました。
せっかくですので、千葉県にて公立中高一貫校受検をご検討されている方々のお役に立つよう、ここに記したいと思います。
千葉県の適性検査を実施する主だった公立中高一貫校は、以下3校。
千葉県立千葉中学校
千葉県立東葛飾中学校
千葉市立稲毛高等学校附属中学
※ここでは千葉大教育学部附属のような国立は含みません。
千葉中・東葛飾中は県立なので、適性検査の問題は同じ。
稲毛高附属中は市立なので、他2校と試験問題は異なります。
今回は、千葉県立の中高一貫校である、千葉中学校・東葛飾中学校の2校の対策のポイントを解説していきたいと思います。
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さて、真っ先に触れておきたいのが、倍率について。
千葉県の公立中高一貫校の受検倍率はえらく高いと皆さん思われていますし、実際教育委員会が公表しているその数値は、確かに7~10倍と非常に高いものです。
けれど、これについては見方(とらえ方)を変えたほうが良いと思われます。
倍率は、確かに募集定員に対する志願者数、または受検者数ということになりますので、それで言えば例年10倍近い数になるのは確かです。
けれど、1次検査通過の後の2次検査…という、段階的に合否を決めていく方式をとる千葉県の場合は、それぞれの数値を分けてとらえるほうが、受検生がその受検を最後までやりきるためには、精神的に健全でしょう。
例えば、2020年の千葉中。
定員数は80名。1次検査の受検者は712名。
しかし、この1次検査を突破した数は344名。
あくまで1次検査を実施したあとの結果論ではありますが、約48%の受検生が通過できているわけですから、1次検査の合格可能性は、1/2の確率と言えます。
そのあとの2次検査においては、311名の受検者から80名の合格者ということなので、3.9倍。
このように段階的に区別して見れば、10倍近いからどうしよう…というような、危機感や不安を、不要に持つ必要はないのです。
適性検査や作文や面接を、1日だけで一気に実施し1発勝負の合否判定方法に比べたら、検査が1次と2次とに分かれている千葉県は、倍率も、その分実質的には緩和されていると思ってよいです。
戦略のカギの一つめ‼
➀倍率の数字だけに怖気づかずに、まずは1次検査通過を確実にすることにフォーカスした学習をすすめる。
一次検査Ⅰ-1・Ⅰ-2の問題は、基本から標準レベルのシンプルな問題が多いので、比較的安定した得点が狙えるはずです。
ですから当たり前のことをきちんとこなし、問題文や多くの資料を読み取るスピードだけ鍛えておけば、基礎学力を備えておくだけで大丈夫です。
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➀をクリアできる見込みができたとしたら、次に、実際に挑む適性検査について触れていきましょう。
「千葉県の問題は難しい」
という方も多いですが、それは先ほど述べたように受検倍率に現れる数字的もののイメージでそう見えているのではないでしょうか。
実際は、とりわけ難易度の高い問題はありません。
ただ、難しく見える原因は確かにあります。特にも適性検査Ⅱでは、それが著しいはずです。
先述したように、適性検査Ⅰでは基本的なことしか問われないため、さほど難易度を気にする必要はないのですが(ただしその完成度の高さは重要になります)、Ⅰ-2の中には、30~40字、または40~50字で記述させる問題が複数見られます。
そうした問題の文字数をトータルすれば、原稿用紙2枚弱ほどにはなるでしょう。
ですから時間内に書けない、または書くのに時間を要し最後の問題までたどり着かなかったという生徒もいるはず。てこずるとしたらその点です。
また、こうした受検生は、適性検査Ⅱ-2においても、なかなか鉛筆が進まないというようなこともあるはずです。
問題の意図をくみ取り、必要な要素を明確に取り入れた記述・論述力は、一朝一夕で短期的に身に着けられるものではありませんから、ある程度鍛える時間の猶予が必要となることを心得ておきましょう!
戦略のカギの二つめ‼
②読む・読み取るチカラを強化し、書くスピードを上げる訓練が必須。
ただ学力があるだけでは対応しきれない「読む力」と「書く力」。
問題集や過去問を解くだけの勉強では、改善は容易ではありません。
日常的に、初見の文章を音読して読む癖をつけたり(読み慣れない文章をすらすら読める=理解力が高いということ)、子ども新聞を読んでそれぞれの記事に対し自分の考えを原稿用紙1/4程度のボリュームで書いてみたりと、型にはまらない必要学習ができることが望ましいです。
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算数や理科が苦手な受検生は、理数系問題で構成された適性検査Ⅱ-1を解くのに時間内で全部解ききれないというようなことが起こるかもしれません。
理数の問題の割に、とにかく解くまでの条件や資料・情報量が多いので、問題文を読み進めながら、与えられた資料にあれこれ視線を飛ばしながら解かなければならないことが、せっかちな理系の受検生にはいささか厄介な問題タイプと言えます。
問題集や私立中学入試でよく見かけるような一般的な算数らしい問題ではなく、多角的に様々な能力を問うようなタイプの問題の作り込みになっているので、情報処理能力に優れていないと、実際に解く以前にストレスを感じ苦戦する問題です。
空間把握に長けている受検生は解きやすいでしょう。
戦略のカギの三つめ‼
③空間把握能力を鍛え、条件や資料から解くための情報を抜かりなく拾い出せるようにしておく。
空間把握と言えば、立体図形などの体積を思い浮かべがちですが、そうした計算ではなく、どちらかと言えば、規則性のような分野が組み込まれた空間図形や、立体図形の辺や頂点の数など、平面に描かれた図形から、空間を把握するようなタイプの問題を選び練習しておくと良いです。
適性検査の常連問題となる、サイコロを使った問題なども、良い練習になりそうです。
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都立中高一貫校はじめ、千葉・埼玉・神奈川といった首都圏では、単に人口も多いため、必然的に倍率も高まります。
倍率の高さが、その適性検査の問題の難易度の高さ、というわけでは決してありません。
問題1つ1つは、小学校での履修範囲の中で、それを実生活に活用された場面を用いて、問題構成がなされてます。
習ったこと・身に着けた知識(特に理科や社会)が、わたしたちの生活の中で実際どのように利用され、実用化できるのかという、知識の日常への落とし込みのイメージがあるかないかが、おそらく合格と不合格を分ける差になるはずです。
基礎学力を身に着け、適性検査の過去問や類題を十分に実践練習できる時間を十分にもてる、受検対策期間を見込みたいものです。
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