理由は、2020年の大学入試センター試験の廃止と、始まる新共通テスト。
「変わる=難化する」
一般的にはそう考えられ、親御さんたちはそれを回避する選択肢を求めるようになるのが世の常。それで今、中学受験に白羽の矢が立っています。
エスカレーターで大学まで内部進学できるように…とか
内容がまだ簡単なうちに受験させておいて、中高と時間に余裕をもって大学受験に備えられるように…とか。
確かに試験内容は、あくまで小学校までの履修内容ですから、高校入試や大学入試内容に比べば、簡単と言えるのかもしれません。
けれど、中学受験や小学受験には、また別の難しさがあることを留意すべきではないでしょうか。
受験時期が早期になればなるほど、子どもの精神的に成熟していません。
また、そのほとんどが親の意向で受験に向かうため、純粋な子ども自身の意思は後付けのような形になっています。
すると、こんな事象が起きやすいです…
・やらされ勉強や親の御膳立て勉強から、受験後指示なしには自分で自発的に勉強できなくなる。
・不合格したとき、受け止めらず心折れてしまう。
⇒中学進級後、不登校になったり、極端に勉強しなくなったりする。
・合格しても、「合格」に満足して勉強しなくなり、中学進学後成績不振に陥る。
「こんなはずじゃなかった…」
いつかそう思う親御さんも少なくありません。
小・中学受験をする目的は、もちろんエスカレーター式の進学や、時間の使い方を含む学校生活の充実など、親御さんにとってはもちろん、お子さんの将来を見据えてのこと。
しかし、小・中学受験をするということの価値に、ひとつ加えて頂きたいのは、お子さんの精神面が鍛えられるということ。
集中力が身についたり、早く正確な計算力や工夫するという思考力が身についたり。模試判定などが悪くても、諦めずにまた努力し続けるポジティブさや、嫌なことから逃げない忍耐力も身につきます。
それらが身についたお子さんであれば、仮に合格できなくても、また高校受験大学受験と、次の機会に必ずやリベンジできます。
もっと言えば、一度挫折して立ち直ったお子さんの方が強く賢く、ご本人にとっての本当の意味で人生の「ここぞ!」というときに、結果が出せる人間になります。
ですから、親御さんたちはモノの見方を少し変えて考えて、小中学受験では「子どもの経験と成長」というところに価値を見出せると、結果がどちらに転んでも、その受験はお子さんの長い人生において、いずれかのタイミングで成功をもたらすと思います。
いずれにしても、どんな受験もハードル走のようなもの。
ただハードルを1つ1つ飛び越えただけで、最後ゴールのテープを切るまでは、誰が成功なのかは分かりません。
ハードルそのものではなく、遠くに見えるテープを見ながら、前進していけるのが理想です。