分断された日本の統治を目指す高校生に、勇気を学ぶ。ー前編
「読書のすゝめ」記念すべき第1回に、僕がオススメしたい本は、知念実希人の『屋上のテロリスト』。
まず、本書の魅力を熱弁するまえに、著者である知念実希人について触れておきたい。
僕は彼の作品が好きで、デビュー以来すべての作品を読んている。
1987年、沖縄で出生。2012年に『誰がための刃 レゾンドール』で作家デビューを果たす。
僕が彼のファンになった理由の一つとして、彼のもう一つの顔があげられる。
彼は作家である以前に、医師であるのだ。
4万人を超えるフォロワーを持つTwitterでも、彼は作品のことだけでなく、役に立つ医学トリビアなども発信している。
これは本当にすごいことだと思う。
医学部へ進学し国家試験をクリアして医師免許を取得するということだって、普通のひとでは中々できることではないにも関わらず、小説家として多くの人に影響を与えることができるなんて・・・
一体、何が彼をそこまで突き動かすのか。
そういった知念実希人の魅力あふれる人間性に惹かれ、僕は彼の本を読んでいる。実際作品にもそれがよく表われている。
また彼は、作品ひとつひとつのカバーにもこだわりがあって、その作品ごとのイラストレーターも、自ら依頼している。
数ある作品から僕が今回選んだ『屋上のテロリスト』。
この作品のブックカバーは、特に好きだ。
銃を持った女子高生と、その銃を向けられる男子高生。その後ろには、大きな花火が高く打ち上げられている。
その綺麗なイラストに惹きつけられ、僕はこの本を手に取った。
読み終わると、最初はただの綺麗なイラストであった表紙が、すべてこの物語の趣旨であったことに気付き、はっとする。
イラストが意味していたことが、内容と結びつき、より大きな意味を持つようになり、鳥肌が立った。
彼の作品では、ただただ内容が面白いだけではなく、こうしたもう一つの違った見方ができるのも、素晴らしさの一つだ。
後編へつづく・・・