【教育ニュースを深掘り】オンライン学習やプログラミングの目的と期待効果

先日、「単位の関係をプログラミングで学ぶ」というネットニュースが目につきました。

単位変換を苦手とする子は多いので、こういったAIやプログラミングを活用したモノは、子どもたちの定着を手助けするツールとしてはとても便利なのだろうと感心します。

一方で、新・学習指導要領の中に組み込まれたプログラミン学習の意図としては、「これでいいのか?」と疑問に思うこともあります。

 

文科省がプログラミングを取り入れた意図は、「プログラミングを通して課題の解決に取り組む学習を展開する」ことにあり、プログラミングを使って科目内容そのものを習得するというのは少しズレているようにも感じられるのです。

 

IT化が進んだこの十数年、常に危機感をもっていました。

技術進歩による「便利化」というのは、子どもたちの学びを簡単に、そして効率的にするのは間違いありません。けれど、ある意味、子どもたちが深く考える機会をなくすということにもなりかねません。

 

例えば、1m³=1000000cm³ですが、これがなぜかといえば、1辺が1mの立方体であれば、1辺が100cmでもあり、その3乗で体積を求めることができます。よって1000000cm³であり、1m³でもあります。

 

 

こうした仕組みが分かっていれば、多少問題の出題角度が変わっても、柔軟に対応することは可能なのですが、それをプログラミングを活用して、cm³からm³への変換には「0」を6つ増やしたり減らしたりすればよいというようなトレーニングをしたのなら、確かに問題は解けるのかもしれませんが、応用力まではなかなか身につくものではありません。

ですから、このようなツールは、あくまで根本理解があった上での問題演習や反復トレーニングとして活用されるのがbetterではないでしょう。

 

 

いつだったか何かの教育雑誌で、「選択できない子どもたち」というテーマの対談記事を読みました。

 

例えば、子どもたちが、好きな歌手のPVを検索し、Youtube動画で観たとします。

するとAIが好みの動画や似たジャンルの動画を自動検出し、画面に「あなたへのおすすめ動画」として、次から次と一覧にピックアップされるため、子どもたちは自分で何かを考えたり選んだりする必要もなく、観たい、もしくは元々は観たいと思っていなかったようなものでさえ、動画を見続けることができるのです。

 

こうした仕組みから、子どもたちに限ったことではありませんが、情報の受け手は、選択能力や情報の真偽の判断能力などを失っているというのです。

 

とても頷ける話題でした。

 

教育の便利化や積極的なICT活用は図られるべきですが、その大本の手綱は、「ヒト」がしっかりと握り、合わせて、情報の扱い方とその道徳観や倫理観を教えなければ、国が狙い意図する教育のあり方と、結果、仕上がる人材が、かつての「ゆとり教育」のときのように、変わってしまうのではないでしょうか。

 

 

 

【参考】ict-enews.net 2019/8/1より

【小3算数】長さ、かさ、重さなどの単位の関係をプログラミング(スクラッチ教材)で理解