令和2年度の、公立・都立中高一貫校受験には、いち早くオンライン学習に適応した受験生が成功するのは間違いないでしょう。
5月31日まで、緊急事態宣言延長の方針が固められました。
海外にならい、新年度スタートを9月にすべきとの声も多数上がり、政府も検討し始めているようではありますが、実現はなかなか難しいのではないかと思われます。
実情に合わせ柔軟に変更することは大事なことだとは思いますが、十分な準備が整わないまま無理やり実施し、その結果混乱をきたしては、本末転倒。
専門家でもない世論の声に振り回され、冷静な判断ができなくなるようなことのないよう、政府にはよく検討していただきたいと思います。
さて、現状のままいった場合、公立・都立中高一貫校の中学受験は、一般的な受験より1~2か月ほど早い、1月または2月に実施されるため、現時点からカウントすれば、勉強できる期間は約8~9か月となります。
DIAMOND onlineに、学習効果(学習量に対する成績の伸び方)について述べられた、わかりやすい記事があります。
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https://diamond.jp/articles/-/56167
注目したいのは、学習量・時間と成績の伸びの関係は、二次曲線(y=x²)であるという内容です。(引用:https://diamond.jp/articles/-/56167)
このことから何が言えるかといえば、学習環境が整い勉強できたとしても、大きな成果を出すまでには、ある程度長期的な時間が必要であるということ。
大きな成果が表れ始めるまでを、わたしは助走期間と呼んでいます。
助走が短く瞬発的にスピードを上げられる人もいますが、そういった受験生たちはときに、「天才肌」と呼ばれたりもします。
しかしそれはあくまで、スタート地点に立った時点での基礎学力の定着レベルが違っていたためであり、誰でもかれでもそうなるわけではありません。
中学受験に限った話ではなく、すべての受験に言えることですが、受験における勝者と敗者の違いは、やはり、本当の意味での学習環境(精神面も含め)が整ってから、計画的に取り組めた期間の長さにあると思います。
それは、必ずしも受験勉強を開始した時期を意味しません。
何度も言いますが、学習環境が整って計画的に取り組み始めた時期が早ければ早いほど良いということ。
その学習環境が整って計画的に取り組み始めた時期をわたしが定義づけるのであれば、以下の3点が満たされた状態を言います。
➀1日の勉強時間帯がおおよそ定まり、親が関与しなくとも、子ども自らが机に向かおうとする癖がついている。
② 使う参考書や問題集など、取り組むモノが定まっていて、やり直しまでを含み、1冊を徹底してやり込めること。
③ 勉強における悩みや困りごとなどを、子どもが自ら親や先生(勉強指導者)に相談できること。
少し補足するなれば、
➀は子どもが目的意識を持ち自立していること
②は一定量の受験勉強が保障され、勉強がぶれない状態にあること
③お子さんに問題解決能力が備わっていること
を意味します。
弊社は2年前までスクーリングによる学習塾を運営しておりましたが、それをなぜオンラインに移行したのかという理由が、こういった点にあります。
新学習指導要領の施行により、タブレットなどの可動式端末が学習利用されるのが当たり前になるという背景はありましたが、それに加え、子どもたちに何か高い目標達成をさせようと思ったとき、最も重要となることは、お子さん自身が自立していることと、取り組み方(学習量と内容)であることだと悟ったのです。
オンラインであくまで学習ツールの一部になったにすぎず、対面で直に人間(教師・講師)が対応する(面倒をみる)のではなく、子どもたち自身がその使用方法をよく理解し、学習とプライベートをしっかりと区別し、使い分けできなければなりません。つまり、目的意識を持ち、自立していなければならないのです。
これまでは、親や先生など子どもと向き合う大人が、子どもがちゃんと取り組めなければ、叱るなどして多少威圧的に接することで、子どもたちを操ることができました。
けれど、それは一時的な改善にしかならず、子どもの本質を変えることとは異なります。受験においては、お子さんの本質的な部分を変え、真摯に勉強と向き合わせなければ、なかなか成功させられません。
そのために、オンライン学習というスタイルで、子ども自身が自らの力で学ぶという姿勢を育んであげることこそが、それぞれの目標達成を可能とする学習指導なのではないかと考えたのです。
学校休校措置が5月末まで延長になり、終わりの先が見えない現時点で、各学校がオンライン授業を開始するなど対処に追われていますが、教師1名が2~30人の子どもたちを画面越しに指導するのは、形だけ体裁を整えたところで、本来の意味での科目指導は不可能です。
そもそも学校教育において、クラスの統一がはかれず学級崩壊が起きていたり、算数などの授業では、習得レベルごとにクラス分けされていて、一人の先生ではフォローしきれず、補助の先生がつくなどして授業しているわけです。
それをどうやって、オンラインでのライブ配信授業が成立するというのでしょうか?ただ授業をやって見せればよいというものでもないはずです。
それを実施するということは、やる学校側にもある程度の責任が伴います。オンライン授業に踏み切れないのにも、それなりの理由と事情があるわけです。
当面、まだまだ混乱は続きますが、こればかりは(非難の意味ではなく)学校を当てにせずに、それぞれのご家庭が社会事情や今後の時代を先読みし、お子さんの目標に合った学習スタイルを吟味し、確立してあげる必要があるのでしょう。
令和2年の各種受験対策は、オンラインでの様々な学習コンテンツ・学習ツールを見極め、そのスタイルに柔軟に対応しうまく活用できた受験生のにみ、勝利の女神はほほ笑むのでしょう。
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