【オンラインで公立中高一貫校受験対策】札幌開成中に学ぶ、公立中高一貫校・適性検査の新出題傾向

北海道・札幌市立札幌開成中等教育学校のように、一部すでに2020年度の公立中高一貫校入試が終了し、合否結果も出ている地域があります。

 

弊社がサポートしたお子さんたちからも、喜びの報告が着々と届いていて、本当に嬉しい限りです。

 

 

さて、入試が終わって我々がまずやることは、各都道府県の適性検査に目を通すこと。

理数系の問題であれば実際に解きますし、文系の問題は、模範解答から遡り、どのような解答が求められたのか?またはどのような意図を含む問題が多く出題されてたのか?などを、細かく分析していきます。

 

この作業は、まともに取り組むと非常に時間がかかるものですが、我々はこれを徹底して行います。

 

なぜなら、日本の公教育がこの時代の子どもたちに今、何を集中的に教え込もうとしているのか、国の教育指針のようなものが、よく分かるからです。

 

それが分かれば、地域に関係なく、今後出題されるであろう問題や、適性検査内で取り扱われるであろうテーマなどが、容易に想像がつくようになります。

 

以前、静岡県のお子さんの公立中高一貫校・適性検査の直前対策をしたときのこと。

ぞれ以前の年に、とある宮城県の公立中高一貫校受験をしたお子さんの対策で使った、宮城県適性検査の過去問題の中から、静岡県で狙われやすそうな問題があったので、流用し取り組ませたとき、本番でまさにその問題が出たというケースがありました。

 

生徒は「先生、神!」と、とても驚いた様子でしたが、分析をしっかりしている我々からすれば、これは当たり前のこと。

全国の適性検査をくまなく解いていれば、どの県・市町村の問題が似ているとか、出題されやすい傾向とか、似ている教育方針とか、自然と分かるようになるものです。

 

 

「塾・予備校の先生・講師たちなら、入試問題や傾向を知っているのは当然のこと!」と、世間は一般的に思うのでしょうが、実際はそうでもありません。どんな入試問題かも知らないままに、教壇に立っている講師も少なくはないはずです。

 

経験上わたしにも理解できますが、子どもたちを直にあずかる塾・予備校では、日々来校する生徒た保護者の方の対応に追われています。

学校と同じで、授業時間には、講義だけでなく模試の返却や配布物、お知らせの告知などがありますし、出席確認や宿題チェック、細かい業務を抜かりなく行わなければなりません。

授業後も、欠席連絡や保護者からのメール連絡チェック、相談電話など、夜遅くまで、毎日目まぐるしく時間だけが過ぎていくものです。

 

ですから、ここまで述べてきたその問題分析や傾向把握などは、各担当者の裁量の中で、自身のプライベートな時間を削るなどして行うべき自己研さんにあたる部分。

意識の高い講師はどれだけでもよく研究しますし、一方、自分の担当は講義で教えることだと、受験知識や情報をあまり身に着けようとはしない対応重視の者や、自分の担当教科のことだけで手いっぱいの経験の浅い新米講師などは、そこまで過去問分析に時間を割いたり、それがゆきわたる時間的な余裕もないのかもしれません。

 

しかし、仮に問題を解いて分析しているにせよ、公立中高一貫校の適性検査においては、いち地域、またはいち中学の適性検査の過去問題を知っているだけでは、次はこれが出る、こういったものが出題されるだろうという勘は、まだ鈍いはずです。

文科省が掲げる学習指導要領に基づき、各学校の教育方針・理念や、育てたい生徒像といったものを兼ね合わせ、問題作成されているので、その問題こそ、地域ごと異なりますが、似た地域・学校というものは、全国に点在しているものです。

 

 

さて、今回は、まず国内北から順に2020年度の適性検査を解き、そんな具体的事例を紹介すべく、札幌開成中等教育学校の問題分析をひとつの例としてあげ、全国の公立中高一貫校の適性検査の今時傾向や、これからどうなっていくかを予測していきたいと思います。

 

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札幌開成中等教育学校の2020年度適性検査の問題は、こちら「札幌市HP」にて確認できます。

↓↓

https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/sidou/shutuganjoukyou.html

札幌開成中等教育学校の問題は「適性検査Ⅰ」「適性検査Ⅱ」で構成されています。

 

 

●適性検査Ⅰ●

例年、対話文ベースで、算数寄りの数字的な情報処理の問題が出題れますが、今年も同様です。

近年、新学習指導要領でプログラミング教育が導入されていることで、それを多少意識している気配もありましたが、今年は、サイコロを転がす設定となる大問2の問題で、空間図形の把握を絡めている算数色のあるものでした。

 

大問1の難易度(★☆☆)

読解力がない、またはせっかちで問題文をちゃんと読めない子は、難しくはないのに点を落としやすい問題です。よく読まないと、勝手な思い込みを起こしがちです。

 

例えば…

 

この問題では、「1」「2」「3」と書かれた3枚のカードを使ったすごろくのようなゲームという前提になりますが、下方に書かれた練習コースにあたる表記には、四角いマスの中にA・B・C…という記載があります。

問題の文章をしっかり読まず、感覚で目についた情報だけで解こうとする子は、この時点で、1・2・3のカードではなく、A~Eのカードがあるのではないかと思いこんでしまいます。これは理系の比較的賢い男の子によくあることです。

 

解いていく過程で、最終的には問題の意図を正しくくみ取ることにはなるので、さほど心配いりませんが、こうした最初の思い違いは、時間を無駄にロスしてしまいますので、せっかちにならず丁寧にきちんと読んで解く方が、結果的には得策です。

 

また、赤で引かれた2つ目のアンダーライン「ただし…無視します」の箇所は、普段ゲームなどにあまり馴染みが無く、実直なタイプのお子さんには、ルールにイレギュラーが起こるものへの理解に少し時間がかかる問題条件であるかもしれません。

 

大問2の難易度(★☆☆)

 

サイコロを転がして、目の部分の数がスタンプされていくという設定の問題にて、(赤線部分)「1→4→5→3→2」のときと記載があるので、2の目を考えてしまうのが自然の流れですが、実際には、(黄色線部)3の目を問われています。

 

大問1同様、先入観や思い込みには要注意!

問題の飛ばし読みや、部分読みの癖がつかないように、日ごろから気を付けましょう。難易度が高くはない上、1つ5点、計50点という配点の問題ですから、その1問が命取りとなりえます。

 

 

 

●適性検査Ⅱ●

 

全般的には例年通りといった印象。強いて言えば、大問2の最後の作文問題、例年とは異なった変化が見られました。

また、過去には雪の多い北海道の気候や土地柄などを問題に取り入れ、受験者に地域のことを考えさせるような問題がありましたが、今年はその地域の特色についての出題は、あまり色濃くありませんでした。

 

 

大問1の難易度(★★☆)

昨年度の写真素材に関する問題と違い、対話文からの問題出題であったため、解きにくさを覚えた受験生もいたでしょうが、難易度は高くはありません。

ただ、(3)で「スポーツツーリズム」という言葉にまつわる出題があります。

 

 

JTB総合研究所によると、スポーツツーリズムは、以下のように説明されています。(https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/sports-tourism/

スポーツを見に行くための旅行や周辺観光、スポーツを支える人々との交流などスポーツに関わる様々な旅行のこと。

 

そもそも受験生のほとんどが、この言葉の意味を知っていたのか疑問が残ります。一般的な公立の小学校履修で、当たり前に学習したり習ったりする用語ではありませんので、そういった意味で難易度を★★としました。

 

文科省は、中央教育審議会のスポーツ計画の策定の中で、 学校と地域における子どものスポーツ機会の充実を掲げていますが、それに、ニューツーリズム・健康寿命・インバウンド...のような社会背景が踏まえられた良問であると、個人的には感じます。

参考:

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1319043.htm

 

 

 

大問2の難易度(★★☆)

昨年の問題を参照すると、最後の問題は、4項目による条件作文でした。グラフなどの資料が与えられることもありますが、比較的自分の考えを自由に書ける課題でした。

 

 

 

しかし今年は、あらかじめ用意された後半の文章に繋がるように、その前半部分を書かせるというタイプの問題に変わりました。

 

 

この変化は、書きやすくなったのか?書きにくくなったのか?と言えば、書きにくくなったと言えるでしょう。

 

これまで150字以上200字以内だったものが、今回は90字以上120字以内と、書くべき文字数は負担減となりましたが、もともとの文章に合うように、自身の考え方や立場も、そこに合わせて書かなければならない縛りが生じるのです。

 

来年からの受験生は、この新傾向に合わせ書き方を練習していかないと、これまでの過去問演習だけでは十分な対応にならないので、ただ書けばうまくなるということでもなく、自分の考えにない意見にも合わせられる協調性のような思考も必要になるでしょう。

 

適性検査Ⅰ、Ⅱに限らず、他県の問題と比較しても、札幌開成中の問題は理数系要素が薄く、思考力や読解力、情報処理能力、そして作業の丁寧さが求められる傾向なので、ふだん算数よりは国語の方が得意というお子さんのほうが有利かもしれません。

 

 

 

札幌開成中の適性検査からは、北海道だけではなく、他地域の対策にも反映し、是非とも取り入れるべき対策傾向が見受けられました。

適性検査Ⅰで見られたサイコロを転がすタイプの問題は、2017年度のさいたま市立浦和中学校広島市立広島中等教育学校の適性検査でも、その類題は見受けられます。

また、適性検査Ⅱでみられた、自由な発想に基づく自分の考えではなく、与えられた資料や設定の縛りの中で、寄せて書く作文傾向は、2019年の都立小石川中等教育学校の適性検査Ⅰでも見受けられます。

 

 

もう一度申し上げますが、公立中高一貫校の適性検査は、地域・学校ごとで作られる問題は確かに違います。けれど、いち地域に偏らず、全国の適性検査傾向を探ることで、これからが予見できるようになるのは確かです。

 

小学校の基礎学力を早めに身につけ、広い視野で多様な適性検査の問題に取り組める時間的な余裕があるのが望ましいですし、他県の問題にチャレンジすることで、柔軟性も身につくでしょう。

 

何から始めたらいいのだろう?

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