新学習指導要領から分かる、子どもたちのこれからの学び

※文部科学省「新しい学習指導要領の考え方」より

 

「新学習指導要領」という言葉をよく耳にします。2018年の現在、現・指導要領から新・指導要領への移行措置が執られていて、小学校では東京オリンピックが開催される2020年、中学校は2021年、高校では2022年に全面実施となるため、話題にあがりやすいですね。

よく耳にはしたところで、実際その中身について一般の方はあまりご存知ないかもしれません。でもこの指導要領の変遷を熟知すれば、子どもの将来に親がどのような学びの環境や方法を与えていけばよいのかが見えてきます。

近年の学習指導要領改定の傾向として、「生きる力」というのがひとつのキーワードであるように思います。

ゆとり教育が問題視されてから、時代の変化や世界情勢などを踏まえ、平成10~11年頃から基礎・基本の知識や技術を習得させつつ、自主自発的に考える「生きる力」の育成にシフトチェンジされました。それから習熟度別指導(いわゆる教科によってレベル別のクラス分け授業)を行ったり、補充・発展学習を行えるようにしたりして、ゆとり教育によって落ち込んだ子どもたち学力レベルの底上げを図るための措置を取り入れました。

平成20~21年には、それらに加え「思考力・判断力・表現力等の育成のバランス」という観点から、小学校からの外国語(英語)活動の導入が決まりました。平成27年には、「答えが一つではない課題に道徳的に向き合い、考え議論する道徳教育への転換」へと一部改正されています。

こうして見てみると、結局のところ、どれほど知識を持ち学力が高くとも、それを使い社会に反映させられる人材でなければならないということ。予測可不可・国内外に関わらず、次から次と起こりうる様々な社会問題に対し、自分事として受け止め対応できる柔軟性や解決力、人々を動かす表現力が、子どもたちの将来に備わっていることを目指していると解釈できます。

子どもたちの学びに、これから具体的に何が必要でしょう。少なからず仮に生涯国外に出ることがない人だとしても、国籍の垣根なく、世界と対等のコミュニケーションを持つための英語力はもはや必須。また、テーマや課題に対し複数人で話し合ったり議論し合ったりするグループワークやディベートディスカッション、それに伴う協調性のようなものも必要でしょう。人に分かりやすく説明し説得する表現力、そして人を動かす行動力を備えるためのプレゼンもできなければならないでしょう。

これまで日本の常識であった学びのあり方は、今大きく変貌しようとしています。勉強に加え、人間力が求められる時代が間もなくやってきます。

専門性の高いハイレベルな学びは、大学や専門学校へ進学してから身につければよしとして、小・中・高校と、これまでどおりの勉強と部活動を基本ベースに、ボランティアや短期留学などの海外研修、学校以外での様々なコミュニティー参加など、これからの子どもたちに私自身が勧める活動も、これまでと大きく変わってくることは間違いないです。