かつては幼稚園受験や小学校受験、中学受験…と、東京都では「お受験」が主流で、都立高校が進学の選択肢にならないご家庭もありました。
2005年度都立白鷗高校附属中、2006年度都立小石川中等教育、両国高校附属中、区立九段中等教育…と、都立区立中高一貫校が開設されるやいなや、その受検倍率は5~8倍ほどと、名だたる国私立中受験をしのぐ人気の勢いです。
このことからも分かるように、東京都のお受験事情において、各ご家庭の志望校選択の基準は、「都立だから」「国私立だから」ということではなく、
高いハードルのお受験(受検)をする
イコール=
良い教育を受けられる
という意識によるものではないかと、思わずにはいられません。
また、〝一貫校〟というところもポイントで、早めに受験(受検)させることで、その後はそのままエスカレーター式に、(語弊はありますが)楽に進級していける、放っておいても当面その先の道が用意されている、という点も、利点だったのではないでしょうか。
時代も移ろいやすく、Z世代やミレニアル世代という言葉を、近頃よく耳にします。
40代後半以上の親世代は、バブルの良き時代を経験した人たちで、稼いで高い車やブラン品などを持つことがステイタスである価値観を、多くの人が持ったことでしょう。
しかし、ミレニアル世代(20代半ばから40代前半)やZ世代(10代から20代半ば)は、バブル崩壊後の不況禍で、更に震災なども加わり、不安な社会情勢を経験し、現実生活を重視するリアリストで保守的な考え持つ傾向があり、高いものを買おう、とか、いい学校に行けばいい職に就けるなどという価値観は、持ち合わせていないといいます。
そのせいなのか、因果関係は定かではありませんが、近年では、あえて「私立ではなくてもいいのではないか」とお考えになる子ども自身や親御さんが多くなったように感じます。
少子化で、浪人生もずっと少なくなり、現役思考が高まる大学受験では、大学全入時代ともいわれていますので、かつてのように小さなころから塾や習い事をつめこんで、無理やり超難関中学や高校に進学しなくても、ある程度の大学には、一貫校ではなく、都立高校、公立高校からも、必要な努力によって合格をつかみ取れるようになったことも、追い風になっているかもしれません。
東京都教育委員会のHPでは、
と題打って、都立197校から自分に合った高校を探すことができる、都立高校検索コーナーを設置しています。
学校の外観や制服などの画像を掲載し、まだ高校受験を意識していない中1・中2生でも、イメージを持てるような工夫がされ、都立高校進学に力を入れているのが分かります。
東京都の都立高校受験でも、人気の高校は倍率・偏差値ともに高く、なかなか受かりにくいので、中学進学とともに、3年間段階的にしっかりと備えていきたいものですね。
都立高校入試の仕組みについては、詳しくは東京都教育委員会の入学案内ページの募集要項にて、最新をご確認いただきたいですが、以下のことをおさえておけば十分です。
【選抜(入試)の種類】
推薦入試…1月下旬実施、面接や集団討論+学力検査
一般入試…2月下旬実施、学力検査メイン
【評価・合否判定素材】
当日試験7:調査書(中3の内申点・副教科4科目2倍)3
または
当日試験6:調査書(中3の内申点・副教科4科目2倍)4
+
英語スピーキングテスト6段階評価を点数化したもの(20点満点)
【入試問題】
実際の問題は、東京都教育委員会のHPにて公開されています。レベルや出題傾向などは直接確認してください。
↓↓
ただし、以下の高校は、英数国において自校自作問題を出題し、難易度や傾向がことなりますので、要チェックです。
青山高校、国立高校、立川高校、戸山高校、西高校、八王子東高校、日比谷高校、国分寺高校、新宿高校、墨田川高校
※国際高校は英語のみ自作
これらの点を把握しておけば、都立高校入試に向けての備え方が自ずと決まってきます。
準備 その1
中1で内申点のとり方を理解。具体的には、定期テストをどのくらい点数をとればいいのか、その他テスト以外はどのような点が評価されるかなどを分析する。
中2で戦略的に内申点を目標まであげられるよう努力。
中3には確実な内申にする。
準備 その2
各高校のHPを見たり、学校祭や学校公開などイベントには積極的に参加し、志望校候補として、自校自作の高校を選択するのか、その他を選択するのかを、できるだけ早期に絞る。
準備 その3
中2までには志望校を決定しておく。
準備 その4
自校自作の高校を志望する場合は、理科社会は履修が進むごとに過去問で解けるものは解いて練習し、早めに完成度を高めておき、中3の入試近くなってからは、国数英に十分な時間を確保できるようにする。
自校自作の高校ではない高校を志望する場合は、内申点の高さと当日の共通試験問題の得点率が合格を分けるので、偏差値の高い高校であれば苦手科目を作らないよう、常にバランスを考え勉強する。
偏差値が55以下の高校を志望する場合、その受検生はどうしても得意不得意科目が生じるであろうため、苦手克服よりも、徹底して得意科目を抜群に伸ばすような勉強をする。
ここから追込みに入る現中3生は、目標までまだ全然手が届いていない方でも、また伸びしろはあるはずです。
ゴールとしてどのような問題が出題されているかはすぐに分かりますので、ただ漠然とがむしゃらに勉強するのではなく、過去問題みて、必ず出題されているレギュラー単元と、そうでない単元がありますから、それらを分析し、取り組む優先順位をつけましょう。
限られた時間の中で、絶対にやることと、後回し、場合によっては捨てるものを分別し取り組むことも時として重要です。
中2以下は、まずは志望校決定や目標が明確になることが、やるべきこと(勉強)が定まる第一歩。
先述の東京都教育委員会の都立高校検索サイトで、現実的な通学をイメージして、通える範囲から高校を絞り、その中で自分が惹かれる高校をピックアップしましょう。
次にその高校の偏差値や入試概要(内申と当日試験の割合や、推薦入試の試験内容詳細など)を調べ、偏差値でいうところ、今の自分の力の5以上上の高校を目標に定め、受検勉強の計画を立てましょう。
そして中2生からは、高校入試模擬、WモギやVモギとよばれる模試を受け、自分の受験レベルでの学力や偏差値がどのくらいあるかを把握しましょう。
模試の結果によって、その後はなにをどのくらい勉強すべきかは明らかになります。
平均実質受験倍率は2倍弱という都立高校入試です。
もちろん、人気でずっと高い高校も多数ありますが、早めの目標設定と段階的な準備で、しっかり合格をつかみ取れる入試ですから、受験生たちには、あきらめず希望をもって頑張ってほしいと思います。
具体的にどのような勉強をしたらよいか、科目ごとの学習相談は、こちらからお問合せください。
↓↓
https://officecbye.wixsite.com/kyoikusoudan
Written by 教育ライター・一条麗子
【参考サイト】
●文部科学省公式サイト
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/08103112/003/005.htm
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