【オンラインで公立中高一貫校受験対策(受検対策)】札幌開成中等教育学校 令和4年の適性検査分析 ー後編 令和4年度適性検査の分析と攻略

札幌市立札幌開成中等教育学校、令和4年度の入試が終了し、入学予定者決定は、いよいよ明後日28日(金)です。

 

1月12日(水)に、1次試験の適性検査、1月22日(土)に、2次試験のグループ活動。今年も多くの受検生たちが挑みました。

 

2022年の受検者状況は、以下の通り。

募集定員160名

出願者数515人

出願倍率3.2

 

2020年3.7倍、2021年3.5倍、そして今年の3.2倍…

と、札幌開成中に関しては、数字だけ見れば年々人気が衰退気味のようですが、社会全体として新型コロナウイルスの影響もありますし、一概に人気低下と決めつけるのは安易と言えます。

 

本ブログの前編に、「合格・不合格の分かれ目」というテーマで、1次の適性検査と2次のグループ活動のバランスの観点から、例年の受験生の合格不合格の目安について述べました。

 

 

この後編では、2020年1月12日実施の1次試験・適性検査の出題傾向やその分析、来年以降どのように対策し攻略したらよいかという点を、具体的にご紹介したいと思います。

 

 

すでに札幌市のHPで公開されている、令和4年度の適性検査。

実際の問題は、こちらを参考に、以下分析をお読みください。

 

 

適性検査Ⅰでは、「課題の解決に粘り強く取り組み、論理的に思考し判断していく力をみる

適性検査Ⅱでは、「課題に対する自らの考えを書くなどの表現力や、課題発見・解決力をみる

とされています。

 

ちなみに、2次試験のグループ活動では、「授業形式によるグループ活動を通して、集団でのコミュニケーション能力や課題 探究的な学習への対応力などをみる」とあります。

 

 

まず、2022年の適性検査Ⅰは、「課題の解決に粘り強く取り組み」という意図がよくわかる問題の作りこみとなります。

 

近年の札幌開成中の適性検査Ⅰは、ゲームとプログラミング要素を融合させたような形式の問題が出題されがちなのですが、新学習指導要施行に伴う教科書改訂以降、文字量・題材資料量が大幅に増え、とにかく時間がかかるようになった印象です。

 

問題はいつも、ゲームをするとう前提で、そのゲームのルールややり方の説明が続き、各ケースによってどうなるか?という問いに結びついていきます。

それはまさに、プログラミング的思考において、

【物事を考える時にその物事の動作や順序を理解し、効率的に意図した動作や結果を導くために論理的に考える】

というものを実践するような問題形式と言えます。

 

難易度が高いわけではないのですが、とにかく「面倒くさい」の一言につきます。

 

実際パソコンなどで行うプログラミングなら、それは思考を実践する操作と言えますが、それを紙ベースで行うには、大量の文字と資料から必要条件に即して多様なケースを考えていかなければなりませんので、短気なお子さんや飽きっぽいお子さんには、なかなか集中慮力がもたないタイプの問題となるでしょう。

 

札幌開成中の、この適性検査Ⅰの一番厄介な点は、1つの問題で3~6つの回答欄を埋める際、それらが完全解答に指定されていることです。

 

完答というのは、例えば、

【模範解答】ア→イ→ウ→エ→オ で10点の配点 だったとき、

【自分の解答】ア→ウ→イ→エ→オ であれば、不正解となります。

3/5正解なので、6点という部分点には決してならないということです。

 

 

札幌開成中は、例年1問あたり、5点・10点・15点・20点のいずれかのような配点となりますので、同情酌量のない、1問1問が本当に命取りになると言えます。

 

 

 

こうした適性検査Ⅰの攻略として、「じゃあプログラミングを習おう」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは直には適性検査に影響しないので得策とはいえません。

 

パソコン、タブレットなどの機器を通して行うプログラミングと、ペーパーテストは異なります。

 

前者は頭を使いながら設計をするイメージですが、後者は情報処理や情報整理のほうが正しいです。

ですから、まず「粘り強さ」を身に着けるにはどうしたらいいかを考えましょう。

 

これはお子さんのタイプによって、選ぶ方法が異なるかもしれません。

 

スポーツによって我慢強さや集中力が鍛えられるお子さんもいれば、読書やパズル、レゴなどに没頭することで最後までやり抜くという力が磨かれる場合もあるでしょう。

 

 

札幌開成中の適性検査Ⅰは、科目知識を問う要素は薄いため、一般的な科目学習の概念は捨て(もちろん最低限の学びと定着は必要ですが)、どうしたら物事を飽きずにやり切ったり、達成したりすることに喜びや満足感を得られるようになるかという基準で、その方法を考えられるのが大切です。

 

 

 

 

 

次に、適性検査Ⅱについてです。

強いてカテゴライズするならば、国語社会の要素をはらむ問題です。

 

こちらも、札幌開成中の事前告知どおり、「自らの考えを書くなどの表現力」の意図を強く感じる問題構成となります。

 

 

大問1は、ある生徒たちが書いたと思われる3パターンの文章があり、採点基準が具体的に提示されます。

各文章について共通する考え方を探求し、200~300字で論述する問題。

 

各文章の良し悪しを評価したり、誰の考えに近いかというような見解を書いたりするのではなく、あくまで事実に基づく探究になります。

ですから、普段作文が得意という方でも、この解答作成は、また別の力と考えたほうがいいかもしれません。

 

大問2では、あるテーマで発表するとき、それに伴い、発表の採点基準といくつかのスライドの絵が提示されます。

 

ある特定の生徒の発表メモが参考に挙げられた上で、発表原稿に関連するスライドの絵を3枚選択し、その3パターンの発表原稿を書くという問題です。

1スライドに対し100字程度で書きますので、全部で300字を書くことになります。

 

 

恐怖なのは、全部で100点満点となるこの適性検査Ⅱですが、実質問題は4問しかないということ。

大問1は、それだけで50点配点。

 

模範解答を参考にするならば、262文字、つまり、原稿用紙4分の3弱の文字数で記述しなければなりません。

 

大問2は、全部で3問。1問あたり100字程度を目指し記述しますが、3問300字ほどで50点という大きな配点を与えられているため、どのような部分点の采配になるのかは、公開されている範囲では分かりかねます。

 

 

これらから、適性検査Ⅱの攻略として欠かせないのは、主観的なモノの見方をせず、他者の意見や考えに柔軟で、事実に基づく分析と、根拠を明確にした表現する力(論述力)と言えます。

そのため、こちらについても科目学習だけでは足りず、別のトレーニングが必要です。

 

具体的には、社会で起きている問題や課題に関心を持つ、または関心を持てなくても、情報を持った状態にしておくこと。

 

無難なアドバイスは、子ども新聞を定期購読することですが、親御さんがもっとニュースをかみ砕いてお子さんに話してあげる方がよいかもしれません。

なぜならそこにはコミュニケーションが生まれるからです。

 

モノだけ与えて「はい、読みなさい」では、結局読まない子は読みません。

そして、読むことが目的ではなく、なぜそのような問題が起きたのか、それらに対し人々はどのような考えを持つのか、などを、他者の意見交換するような場が必要なのです。

 

 

 

そして、書く力について。

これは本当に短期的には身に付きません。

身に着けるトレーニング過程の中で、「書くこと」が嫌いだったり苦手だったりする子は、投げやりになる場合も多くあります。

まずは自信をつけさせ、書いたものを誰かに見せたいと思わせることが優先されます。

日記でも、見たテレビ番組やYouTubeなどの感想でも、100字程度で好きに書かせ、それがどんなに幼稚だったりヘタだったりする文章でも、批評ではなく、良い点だけ褒める。

それを繰り返すことで、書くことに抵抗がなくなれば、それだけで次へのステップへ進むことができます。

 

更にステップアップする場合、または本来書くことが得意であるお子さんは、書く中身の質を上げることです。

 

作文コンクールなどのような読ませる作文ではなく、問題意図に正しく解答する作文でなければなりませんから、自分の独りよがりの感想にならないよう気を付けたいです。

そのためには、教科書などの説明文を段落ごとにコンパクトに要約していく練習が望ましいです。

説明文・論説文は、そもそも事実に基づく文章です。

正しい言葉使いや漢字の知識が習得できるだけでなく、他人を説得する文章の書き方に、自然と触れることができます。

 

中にはその作業がつまらないと感じるお子さんもいるでしょうが、こればかりはその子の経験値がモノをいうので、週1回1段落でもいいので、継続的に取り組めるよう努力しましょう。

 

 

 

 

これまでの過去問と比較すると、近年の札幌開成中は、問題数そのものの数が減り、逆に言えば、1つの問題あたりの記述量が増え、配点が高くなったことを意味します。

 

適性検査ⅠにしろⅡにしろ、これまでの一般的な中学受験対策とは、また別の形の対策を取らなければならないことが明らかです。

 

科目ごとの問題集や教材をたくさん買い込んで演習を積むよりも、実際札幌開成中が学校の授業で子どもたちに行っているような、探究を主に、自主的で実践型の取り組みを意識した学びが、受検対策になると考えられます。

 

とは言え、ウチの子は何からどう手を付けたらいいのかしら?というご家庭は、まずはCbyEDTECHの門を叩き、わたしたちと一緒に、お子様にあったプランを考え対策していきましょう!

弊社HPより、お問い合わせ・ご相談くださいませ。

 

札幌開成中受検をもっと知りたいという方は、「前編-合格・不合格の分かれ目」もご覧ください。

 

◆参考サイト

・札幌市公式HP

https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/sidou/shutuganjoukyou.html

・札幌市立札幌開成中等教育学校公式HP

https://www.kaisei-s.sapporo-c.ed.jp/

 

◆関連記事

【オンラインで公立中高一貫校受験対策】札幌開成中に学ぶ、公立中高一貫校・適性検査の新出題傾向

 

【オンラインで公立中高一貫校受験対策】札幌開成中に学ぶ、公立中高一貫校・適性検査の新出題傾向

 

【オンラインで公立中高一貫校受験対策(受検対策)】札幌開成中等教育学校 令和4年の適性検査分析 ―前編 合格・不合格の分かれ目