【G-Kroos読書のすゝめ/vol,3】奇才なアイドルがトラペジウムで描いた心の葛藤。ー前編

今回僕がおすすめするのは、小説『トラペジウム』だ。

作者は現役アイドル、乃木坂46の高山一実。1994年2月8日生まれの25歳。海と花畑に彩られた色彩豊かな千葉県南房総市出身。

子供の頃から打ち込んだ剣道の腕前は二段。歌って踊る華やかなアイドルのイメージとの、そのギャップもまた彼女の魅力である。

「トラペジウム」は高山一実の処女作で、乃木坂グループ内での出版物としては初の人気小説。人気絶頂アイドルによる作品ということもあって、「平成生まれが1番買った本」にも選ばれた。

現役アイドル、乃木坂46一期生初期の頃から選抜メンバーである高山は、たくさんのユニット曲も務め活躍している。ニックネームはかずみん。

現在放送中の冠番組「乃木坂工事中」では、持ち前の面白さを発揮し常に笑いをとっている。バナナマンとのトークの中で生まれたギャグや喋り方など、彼女の存在そのものが面白い、作品にもそのユーモアは反映されていて、実際作品を読み進めると、「いかにも彼女らしい」と感じる場面がいくつもある。

彼女がアイドルの道を志すようになったのは、高校生の時。

いくつものアイドルのオーディションに落選しても、その夢を捨てきれず、乃木坂46一期生オーディションを受験し、見事合格した。そうした自身の経験があって、この『トラペジウム』は誕生したと言っても過言ではない。

だからこの『トラペジウム』の主人公もまた、1人の普通の高校生で、その少女がアイドルになりたいという夢に向かって、まっすぐ突き進む物語なのである。

小説を書くことはとてもたのしいと語る高山。
小説とは、ファンの方々に自分の肉片を飛ばしている様で恥ずかしい、アイドルなのにこんなことをしていいのかと自分で葛藤することもあったという。
だか、『トラペジウム』の大ヒットの背景には、そうした彼女の個人としての赤裸々さに惹かれた人々がいたからこそだと思う。アイドルとしての実体験や、そこで生まれた考え方など、とある小説家による妄想のフィクションではなく、本業の者アイドルが書くからこそ、リアリティーがあり面白い。

1人でも多くの人に「私は幸せだよ」ということを届けたいという思いで書いた作品であるらしい。

 

自分の実体験から描かれ、その分登場人物たちの気持ちの描写がわかりやすいので、アイドルファンや同世代の人たちが感情移入しやすいのも、この小説の魅力。

現に高山本人は、同メンバーの齋藤飛鳥や元メンバーの西野七瀬などに被せてをモデルに書いたところがあると述べている。

テレビなどで見る華やかなアイドルたちが、その裏でどのような苦悩を抱え、どんな夢を思い描いて日々過ごしているのか、応援するファン・彼女らと同じようアイドルを目指す若者・この本からアイドルに興味を持った読者・・・などなど、読み手の立場によっても、この小説の見方が変わってくるのも、この本ならではであろう。

人気アイドルたちが、その地位を確かなものとするまでの、それぞれの苦悩や人間模様は、僕たちファンの想像力をよりかき立てる作品となっている。

 

後編へつづく・・・


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