都立・公立中高一貫校は、早いところで11月、平均的には1月上旬から中旬に入試本番を迎えます。
10月に入ると、
「いよいよ残すところあと2、3ヶ月かぁ〜…」
という気がしてきますね‼︎
この時期、受験生当事者となる6年生およびその親御さんたちは、緊張感や、焦り・不安を感じ始めることでしょう。
また、受検を意識し始める4年生や5年生およびその親御さんたちは、本当に受検すべきかを親子で話し合ったり、「よし!やってみよう」と覚悟を決めたり、いつから本格的に受検対策をしていこうと考え出したりしていることでしょう。
いずれにせよ、この秋から年明けにかけ、都立・公立中高一貫校受験を志す多くの子どもたちとその親御さんは、精神的に慌ただしい時期を迎えます。
都立・公立中高一貫校受検において、最もよくされる質問。
それは
「受検勉強、いつから始めたらいいですか?」
というもの。
厳密に言えば、「いつから始めたらいいか?」ではなく、「いつまでに始めれば、合格に間に合いますか?」ということだと解釈しています。
これは、実は長年この都立・公立中高一貫校受検に携わっていても、正確なタイミングには言及しかねます。
平均的なケースで話をするなら、
「できれば4年生の夏休みまでには始めましょう」
と答えます。
適性検査の出題範囲とその割合は、小学5年内容が多くを占めます。
ただ、5年内容を確実に習得していくには、4年生までの基礎力が土台としてしっかり定着していなければなりません。
ですから、4年生の時点で受検の覚悟を決め取り掛かり、それまでの履修内容を確実に理解・定着させておきます。
それで万全な状態で5年生を迎え、5・6年で履修する内容がスムーズに上積みできるようにすれば、適性検査の過去問題に取り組む時間も持つことができます。
ただ、これまで多くのお子さんをあずかる中で、正直なところ、
「小学4年生から始めたからこそ成功できたんだ!」
と断言できる子ばかりだったかと言えば、そうではないのです。
4年生から、またはそれより前の、比較的早くに受検勉強を始められた場合でも、その弊害も一方にはあるのです。
小学生は学年が小さければ小さいほど幼いので、小・中学年のうちは当然ですがまだ自我が芽生えていません。
そのため、「親がそう言うならそういうものだ」と、比較的親や大人が意図する方へ仕向けたり動かしたりすることができます。
都立・公立中高一貫校受検においても、
「こうやって勉強したらいいんだ」
「こんなにいい学校なんだ」
「受かったらこんなふうになれるんだ」
「合格したら●●を買ってあげる」
などの親の啓蒙に、「素直にそうなんだ!」と従いやすい環境があります。
何より子どもたちは、お父さん・お母さんを喜ばせたいという心理が働くので、中学受検や適性検査がどんなものかもよく分かっていなくても、多くの場合、まず頑張ってみよう!と思うものなのです。
そんな状況でその気になって受験勉強を始めたとすると、5年生、6年生と心身共に成長し、「自分」を持つようになってき始めると、親がやいのやいの言うことが次第に負担や重荷になってきます。
すると、ちょっとした親子喧嘩や、子どものしつけの際に、
子ども自身が、
「じゃあもう受検しない」
と言い出したり、
痺れを切らした親御さんの方が
「そんななら受検なんてやめなさい!」
と癇癪を起こしたり、
そうした精神的なぶつかり合いで、勉強をしなくなったり、強勉に集中できる環境でなくなったりし、思うようにことが運べなくなるケースも、実は少なくはないのです。
せっかく成功するためにした早期取り組みでも、その分取り組み期間が長期化することで、結果的に中弛みや飽き・挫折を生み、思うようにいかなくなることもあるので、それなら5年の後半や6年生から、短期集中一気に追い込みをかけた方が、そのまま一直進に走り切り成功したケースも、実際はいくらでもあります。
ですから、都立・公立中高一貫校受検を検討されるご家庭には、「いつから」というタイミングよりも、「受検をする目的と意義」を、お子さんと大事に共有することの方が優先してお考えいただきたいのです。
これは、国私立の中学受験においても言えることかもしれませんが、義務教育下にある小学6年生が、そのまま慣れ親しんだ環境とは別に、目標を掲げコツコツ勉強し、わざわざ他人と競い合うことに挑戦しようとすること、また、受検倍率3〜8倍といった相場で、不合格者の方が圧倒的に多くなるのも分かった上で挑む勇気、それこそが「凄いんだ」という受検価値を、しっかり親子で受け止める必要があると思います。
都立・公立中高一貫校の適性検査は、時として、普通の各科目ごとの入学試験である難関私立中学の問題よりも解きにくく、超難関と呼ばれる私立は受かったのに、都立・公立はダメだったというお子さんたちがいるのも事実なのです。
中学受験(受検)に失敗したお子さんの多くは、その経験が、その後の人生において何かにつけ
「また失敗するんじゃないか」
「自分にはできないのではないか」
というトラウマとして残り、自己肯定感の低い子どもにしてしまうことがあります。
しなくても済むはずの挑戦の壁に自ら挑むことの勇気や、一生懸命やって臨んだ結果であれば、それが合格でも不合格でも、次のステップへの糧になるということを、子どもにも言ってきかせ、親御さん自身もよく心得て、あくまで下支えする立場で見守る姿勢が、多くの受験生と親御さんと接していて、とても大事に思います。
親御さんの意向と饒舌な口車によって受検する方向へ仕向けるだけではなく、その真の価値を子どもにも理解させ、親のためではなく、子ども自身が「自分のためにやってみたいんだ!」という気持ちにさせられるかが、受検を最後まで乗り切れるかどうかの分かれ目です!
そうした意味で、子どもをしっかりやる気にさせられたら、そこから受検勉強を本格的にスタートさせましょう。
きっとそれが4年生でも5年生でも6年生でも、うまくいく可能性が高まるはずです。
親子で折り入ってこのような受検の話がうまくできない、どのように伝えたらいいのか分からないというご家庭には、その向き合うきっかけを、私どもがお手伝いいたします。
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都立・公立中高一貫校やその受検に興味があって、もっと知りたいという方へも必要な情報提供や、対策の仕方のご提案を行っております。
都立・公立中高一貫校、入試本番まで
あと3ヶ月、あと1年、あと2年・・・
そうした節目を迎える今、皆様がよい追い込みやスタートを切れることを切に願います。
Written by 教育ライター・一条麗子
【参考サイト】
●東京都立中高一貫校専門Polit
https://ikkan-polit.com/<公立中高一貫受検>%E3%80%80不合格を恐れる必要がな/
●塾探しの窓口
https://jyukumado.jp/column/110
●Study中学受験
https://www.study1.jp/kanto/list/sepa_list/list_c.html
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